ふむふむつうしん 第15回


 私にとって秋は、ふっと物思いにふける季節。いつもぼーっとしているので、秋だけじゃない、と家族には突っ込まれてしまいそうだけれど。読書の秋というし、虫の音を聴きながら、少ししんみりといろいろ考える時間を持つのもよいもんだ。というわけで(?)、秋だ、堂々とぼーっとしよう。


 東海テレビ制作の映画「人生フルーツ」で、つばた英子さんが「ときをためる」という表現をされていた。「ときをためる」。つばた夫妻の毎日を丁寧に生活する姿は、まさにそれを体現されていた。「ときをためる」にはいろんな意味がこめられていると思う。そのひとつに、彼らの指す「とき」は自分たちが生きている時間を指すだけでなく、自然と次世代の「とき」につながっているのを感じる。丁寧に耕した土は、孫の世代まで引き継がれていく。いや、どんな人が過ごす「とき」も自分の「とき」のようで、多かれ少なかれ、そして善いものも悪いものも、必ず他者にも影響をもたらすもの。自分だけの「とき」というのは幻想で、存在しないのかもしれない。自分のものであって自分のものでない。時間もいのちもそして生き方も。


 先日、住んでいる地区の組長総会があり、今年は組長を仰せつかっているので出席した。そこで、防災についての講演会があり、「震災がつなぐ全国ネットワーク事務局」の松山さんが30分という短い時間で話をしてくださった。災害に遭った方が必ず口にするのが、「まさか自分が被災するとは」という言葉だという。その場で松山さんが、自分が生きている間に災害には遭わないだろうと思われている方、と聞くと、ご年配者が多い会場内で、何人かが正直に手をあげる。遭わないと思うというより、そう願いたいという人も多いだろう。ここ10年だけをとっても、日本にどれだけの自然災害が起きているかという事実と、今後50年の間に東海地方では90%の確率で地震が起こることが予測されている話があった。そして松山さんは、自分はその時に生きていないかもしれない、用意した防災グッズは使わないかも知れない。でも、子どもさんが、お孫さんが、被災するかもしれない。その人たちに防災を伝えられるのが皆さんなんです。防災の姿勢を自らの姿勢をもって繋いで欲しいと。メモして聞いていなかったので細かい言い回しは違うけれど、私はそんな風にメッセージを受け取った。防災というひとりひとりの行動ひとつも、「次世代につながること」、「ときをためる」ことになるのだと思った。


 さて、今月の学び舎ふむふむは、前半が「季節の変わり目を五感で感じる」、後半が「障がいについて考える」、おやこふむふむは「自分との対話、他者との対話」でした。10月は「防災」「植物の知恵」について感じて考えます。体験参加お待ちしています!                         (ソガベ)


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# by tomotomoso | 2018-09-28 14:42 | Comments(0)

ふむふむつうしん 第14回

今年の夏が酷暑だったからか、涼しくなるのを待ちに待っていたせいか、はたまたふむふむのおかげで季節の変化に少しは敏感になったからか、立秋過ぎたころから秋の気配を強く感じた今年です。夏の終わりはいつもなんとなく少し寂しくなるのですが、この暑さがやっと終わる!と思ってほっとしています。

学び舎ふむふむは7月に2年目を迎えました。月2回の学び舎の時間なので、この一年で取り上げたテーマも多岐にわたります。そしてふむふむでは半年毎に、「ふりかえり発見カード」なるものを記入しています。カードにある、「うれしかったこと」「気になっていること」「変わったこと」などを文字にすることで、自分に起きた変化や、今の状態を見つめる機会になっています。7月のふむふむでは後半に少し時間をとって、自分のふりかえりを発表して共有してみました。「自分の状態を客観的にみれるようになった」「「悩むのではなく考えるようになった」「いろんな視点で物事を捉えるようになり、待てよ、と思えるようになった」「考え続けることがいやじゃなくなった」「自分の変化を楽しみに思える」等々、さらに自分の仕事や人生での具体的な課題なども出てきました。また半年後、それぞれ何を感じて考えているのかが楽しみです。

 さて、8月は「学び舎ふむふむ」も「おやこふむふむ」もお休み。お休み中の話を少し。ふむふむ案内人の私はお盆で東京の実家に帰った際、「ダイアログ・イン・サイレンス(DIALOGUE IN SILENCE)(静けさの中の対話) 」に参加してきました。これは、「音のない世界で、言葉の壁を超えた対話を楽しむエンターテイメント」。10人程がグループになりスタート。最初の部屋で音を遮断するヘッドホンを装着し、“声”と“手話”はお預け。音声に頼らず対話をする達人、聴覚障害者のアテンドにいろんなテーマの部屋に案内され、静寂の世界、言葉の壁を超えたコミュニケーションを体験していきます。“言葉を失う”と考えると不自由で、“言葉に縛られない”と考えると自由である体験。ボディランゲージや顔の表情を駆使(苦使!)し、集中力、観察力、表現力、発想の転換力、柔軟性が多いに求められます。90分の体験後、私自身は脳や顔の筋肉に少し疲れを感じました。言葉が使えないからこそ、つたわりたい、わかりたい、という思いが起き、初対面の参加者とも自然と対話の姿勢になるのが面白く、普段のやりとりでの横着ぶり、言葉に頼りすぎている自分の姿勢も感じました。

このエンターテイメントは、昨年の同じ時期にふむふむ通信(第2回)でご紹介した「ダイアログ・イン・ザ・ダーク(暗闇の中の対話)」と同じく、ドイツ人の哲学者アンドレアス・ハイネッケが発案して1998年にドイツで開催されて以降、世界に拡がりつつあるとのこと。学び舎ふむふむでも取り入れられるヒントもいただいてきましたので、楽しみにしていてください。                       (ソガベ)


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# by tomotomoso | 2018-09-28 14:39 | Comments(0)

ふむふむつうしん 第13回


7月中旬の夜、散歩をしていると、土から出てきたばかりだろう蝉の幼虫がゆっくりゆっくり、地を歩いている姿に出会いました。蝉が出てきただろう穴と蝉の抜け殻は見たことがありましたが、幼虫が歩く姿を見るのは私には初めてのこと。そこは自転車や人が通る道だったので、思わず急いで!と人間目線で思ってしまいました。そして生きる舞台を移動している蝉をみてはっとしたこと。蝉の一生は数週間で短いと思っていましたが、なんで私は地中での時間を蝉の一生の中に含めて捉えていなかったんだろうと。蝉は人生(蝉生?)の多くを地中で過ごし、最終章(出会いと生殖のクライマックス?!)を地上で過ごす、と考えるとなんだかしっくり。そんな見方も当の蝉には、はっ?と言われそうです。生きもの好きのオットに蝉の一生ってよく短いっていわれるよね?とまで話をしたら、短くないけどね~、17年蝉というのもいて・・・とすぐに返ってきました。おっーと、そうですよね。目に見えない部分に思いを馳せずして、目に見える部分だけ見て勝手に決めつけていること、まだまだいっぱいだろうな、と思いつつ、聞こえてくる蝉の声にあの蝉の声かな?と、またまた勝手に出会った幼虫がオスだったと決めつけている私でした。


7月のおやこふむふむのテーマは「五感力」。先月のふむふむつうしんでご紹介した本も使いながら、子どもと過ごす日常の中で五感を意識してみることについて、ワークもしながら考えました。母たちが学ぶ隣で1歳から5歳までの子が思い思いに遊んで過ごしています。夏休みに入ったばかりでお母さんと一緒にきてくれた幼稚園の年中さんの女の子は、袋の中のものを手で触ってみるワークに積極的に参加してくれ、触覚で感じとったものを素直にわかりやすく表現して見事に中身をあてました。そして石の写真をみせて石ってなーに?ときくと、何通りものこたえが返ってきます。子どもはなんて頭がやわらかい!おとなはこたえる前に、「あってるかわからないのですが」と断りが入ります。正解なんてないのに、期待されるこたえと違うことを言うことを恐れてしまうのがおとなです。そして、いつの間にか、子どもたちにも自分が期待した反応を求めてしまう。大人もマケズに頭を柔らかくしたら、親子の会話(やりとり)はもっとはずみそうです。「育自は育児」だなぁと親子の姿を見て実感します。ここしばらく、おやこふむふむでも学び舎ふむふむでも、音読の時間を作っていますが、おとながリズムよく詩を読み始めると、こどもたちが自然と笑顔で身体をゆらしてリズムをとっていきます。言葉のリズムを身体全体で感じてそれが活力となっていく様子を体現してくれています。大事にしたい習慣です。


7月の学び舎ふむふむは、前半が暮らしの知恵から学ぶ日でテーマは「お盆」、後半は哲学・言葉の日で「昔話」がテーマでした。体験クラス(希望にあわせて随時開催)もあり、「生きるを考える」というテーマで一緒に学びました。学び舎ふむふむもこの7月で2年目を迎えました。おやこふむふむも始まり、ますます楽しみな2年目です。ぜひ体験しに来てください。  (ソガベ)

                                    


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# by tomotomoso | 2018-08-06 09:15 | ふむふむつうしん | Comments(0)

ふむふむつうしん 第12回

今月のふむふむ通信は一冊の本の紹介を。この4月に出たばかりの新しい本。

  『あそんでまなぶ わたしとせかい 子どもの育ちと環境のひみつ』

         佐治晴夫・勝間田明子・細田直哉著 みらい2018


この本のキーワードは<対話>です。遊びをとおして、自分(身体)との対話、

モノとの対話、人との対話の楽しさと喜びを共に感じてみませんか?」

この本の構成とキーワード」P.16より


この本は、前半に「五感を磨く」さまざまな遊びの実践を、後半には「生きる力」の基礎がどのように育つのか、「遊び」が「学び」につながる理論と、育ちの「環境」をどのように整えるかについて紹介しています。人は自分の「身体」との対話(食事や睡眠などの生活のリズム)を土台に、モノや人を含む「環境」との対話をよって育ち、常に変化し続けられる存在であることが、3人の著者のそれぞれの視点を対話的に交錯して書かれています。


6月最後の日曜日、名古屋柳城短期大学で行われたこの本の出版記念講演会に釘宮さんと行ってきました。著者のおひとりである佐治晴夫先生は、「学び舎ふむふむ」でも何度か資料でご登場いただいています。佐治先生は宇宙や物理学がご専門で、パイプオルガン奏者のお顔もお持ちです。1977年にNASAが打ち上げた無人惑星探査機ボイジャー1号には、佐治先生の提案で、バッハの「プレリュード」のレコード盤が搭載されました。宇宙人と人間が交信する機会があれば、その時の共通語は音楽でないかと考えてとのこと。講演では、ビッグバンから私たちひとりひとりが生まれるまでのこと、誰もが「星のカケラ」としての存在であること、0.1mmに満たないひとつの細胞からたくさんの試練を乗り越えて誕生した奇跡、唯一無二の存在であると同時に周囲の環境や他者とのかかわりの中でしか生きていけない相互存在であること、宇宙の中で私たちが目に見えるものはたった4%に過ぎないこと、などを心に響く時に厳しい口調で話してくださいました。「今さらでなく今から」「これから(未来)がこれまで(過去)をきめる」、といったメッセージも。佐治先生と私がお呼びするのは、実は20年以上前の大学生の時に、一般教養の授業で先生の講座を受講していたからです。久しぶりの先生の講義に胸が熱くなりました。会場のピアノをさっと奏でながら講義をされる佐治先生も83歳。機会を見つけたらぜひ講演会に行かれて先生の話を生で聴かれてみてください。           ソガベ


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# by tomotomoso | 2018-08-06 09:12 | ふむふむつうしん | Comments(0)

ふむふむつうしん 第11回

ただいまあちらこちらでツバメが子育ての真っ最中。スーッと飛んできて軒下に入るツバメを見かけると、そこにはツバメの巣。肩を寄せて並んだヒナたちが、エサちょうだいと猛アピールしています。親ツバメは大忙し。なんとなんと、5羽のヒナに1日で639回エサを運んだ記録があるそうです(※1)。


今月のおやこふむふむは、今ふむふむで注目している「対話」がテーマ。今回もインタビューゲームを通して、対話の姿勢、親子の対話について考えました。聴き手に徹することで感じられる感覚が、普段の自分の他者との向き合い方への気づきを与えてくれます。そして自分が話した言葉が相手を通って(編集されて)返ってくると、違う角度から自分のことが見えてきます。役割に徹して聴き合うことで生まれる相互作用が、自分自身と相手を尊重する姿勢を深めてくれます。これこそ対話の姿勢です。インタビューゲーム初体験の参加者からは、普段子育てや家事に追われてあっという間に過ぎている自分の毎日だが、自分なりに有意義な時間を過ごせていることに気づいた、子どもと早速対話しようと思ったと。そして、おやこふむふむで自分が学ぶ時間を持つことで、子どもを見つめなおせているという変化を話してくれました。今後の親子の会話が楽しみですし、ふむふむが日常に活かせる学びの場であることがうれしいなと思います。


一方、5月のふむふむ前半は自然から学ぶ日で、テーマは「五感力」。五感とは、味覚、聴覚、嗅覚、触覚、視覚の五つの感覚。五感についての著書の多い作家、山下柚実さんの本を参考に、まずはそれぞれの「五感の故郷」の引き出しを開きます。印象深い五感の体験を書き出してみるのです。みなさんはどんな五感体験を思い出しますか?

味覚:初めてビールを飲んだ時の苦さ、小さい頃綿あめを食べたときの感激、、、

聴覚:お祭りのお囃子の音、仕事から帰ってくる父親の足音にお土産を期待したこと、、、

嗅覚:剣道の防具の臭さに気を失いそうになったこと、赤ちゃんの匂い、、、

触覚:五右衛門風呂の熱さ、田んぼに足を入れたときの感覚、、、

視覚:停電の真っ暗闇の思い出、夏の入道雲、、、などなど他にもたくさんあがりました。

山下さんは意識して磨き高める感覚として「五感力」という言葉を使っています。斎藤孝さんも山下さんとの共著(※2)の中で、「感覚というと生まれつき備わっているかのように思われがちですが、実は非常に文化的な産物で、生活体験の中で培われていくもの」と書いています。しかし今の効率重視、情報頼りの生活の中で、五感で感じる体験がないがしろになっていないかと。五感力を磨くためのワークをいくつかやってみて、自分たちの眠っている感覚を呼び起こしてみました。「五感」を刺激すると脳細胞が活性化することもわかっています。意識を変えるだけでも、生活の中で五感力を鍛えられることは多そうです。

                                    (ソガベ)

※1 『ツバメ (田んぼの生きものたち)』神山和夫、渡辺仁、佐藤信敏著 農山漁村文化協会

※2 『「五感力」を育てる』斎藤孝、山下柚実著 中公新書ラクレ


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# by tomotomoso | 2018-06-11 21:15 | ふむふむつうしん | Comments(0)